持続可能な土づくり

冬の間に、土づくりをするんだよ
緑肥(りょくひ)をそだてるんだよ。



緑肥(りょくひ)ってなに?



土のえいようになる植物のことだよ
たとえばこれ





レンゲだ!



よく知っているね!そのとおり!
他にもこれ





クローバーだ!4つ葉をさがしたことがあるよ



そう!シロツメクサともいうね。
安心米づくりではこのクローバーを
植えて、土の養分(ようぶん)を増やしているんだ



クローバーを植えるだけでふえるの?



ねっこに、土の中にある「ちっそ」という、
よう分をためることができる、こぶをもっているんだよ



すごいね


根っこを見てみると、根っこに数ミリメートルの瘤(こぶ)のようなものがいっぱいくっついています。これは根粒(こんりゅう)と呼ばれる器官で、この中に根粒菌(バクテリアの一種)という土壌微生物が住んでいます。根粒菌(こんりゅうきん)は大気中の窒素をアンモニアに変換し(窒素固定といいます)、植物の生育に欠かせない窒素を供給する働きをしています。
化学肥料のアンモニアは1000気圧という超高圧、500°Cという高温のもとで窒素と水素の化学反応で工業的に作られます。つまり化学肥料を作るためには莫大なエネルギーを費やしているのです。
根粒菌はこの反応を常温常圧で、土の中で自然に行っています。緑肥としてマメ科の植物を植えることで、環境負荷のない持続可能な土づくりを行うことができるのです。
田んぼに生えるその他の植物



雨が少ないと、クローバーのめが出なかったり、
ほかの植物にまけてうまくそだたないこともあるんだよ



どんな植物がじゃまするの?



ノハラツメクサとか







スズメノテッポウとか





知ってるよ、笛になるやつだね


クローバーがしっかり育ってくれないと、土の中の養分が足りず、お米が育たなかったり病気にかかりやすくなったりします。
安心米の田んぼには、田んぼの南側にあるため池から水を引いています。水田は引いた水から養分を得ています。ため池の中の水は周囲の山々の腐葉土などから多くの養分を得ていますが、化学肥料を使わないため、窒素やリンなど、稲づくりに必要な養分がそれだけでは容易に補うことはできません。そこで、種をまいて、クローバーを育て、根粒菌の力を借りて窒素を土の中に多くため込むようにするのです。
また、クローバーを植えることで、クローバーの葉が茂り、土の表面が乾くことを防ぎ、多くの微生物が活発に活動できるので、より良い土づくりができるのです。
冬眠するスクミリンゴガイ



夏にたくさんいたジャンボタニシ(リンゴスクミガイ)はいないの?



冬の間は、田んぼの土の中や水路の端のほうで冬眠しているよ。





土を掘り返してみたら、たくさんいたよ


稲を食べてしまうスクミリンゴガイは、土にもぐって冬眠しています。農閑期、田んぼのあぜの修理(周囲の擁壁)の工事をしようと、ショベルカーで掘ってみると、たくさんの冬眠中のスクミリンゴガイが出てきました。スクミリンゴガイの生命力は強く、春に産卵することを目指して土の中などで冬を越しているのです。トラクターで耕耘することでかなりのスクミリンゴガイがつぶされてすき込まれますが、代掻き後に現れる姿を見ると、なかなか簡単には駆除できるものではないと分かりますね。
イノシシが来る



今のところ安心米の田んぼには来てないけど





近くのもち米の田んぼはイノシシに入られて大変だったんだ


安心米の田んぼより南側200Mの山手にある、もち米の田んぼは、今年イノシシに入られてしまいました。はじめはあぜを掘りかえしたり、田んぼの泥を浴びたりしているところから、お米を食べる、に変わっていく場合もあるそうです。安心米の田んぼのまわりにも耕作放棄地が点々とあるので、それがイノシシたちの住処になってしまい、山手からどんどん平地におりてきているのではないか。人と野生動物、それぞれの生活を思うと、電柵のリスクを経てでも田んぼに入ろうとするウリボウの姿が目に浮かび何とも言えない気持ちになります。
田んぼの周りの整備



田んぼのまわりのかべをつくるよ



かべがないと、モグラが穴(あな)をほって
水がなくなってしまうこともあるんだよ


擁壁でモグラ対策。重機で掘り、型枠を作り、生コンクリートを打ち、型枠を外し、と、農業土木の整備も無農薬栽培ににおいて重要であることがわかる。安心米づくりでは、次々と上流の川から流れてくる水をふんだんに使えるわけではありません、ため池からの取水に頼る安心米の田んぼにおいて、モグラの穴で水抜けが起きることは一大事です。オフシーズンごとに少しづつ擁壁工事を進めているそうです。