秋の安心米づくり

目次

お米の病気

いよいよ稲刈り(いねかり)ですね

うーん、心配(しんぱい)なこともあるんだよ

どんなことが心配なんですか?

「ゴマ葉枯れ病」(ごまはがれ)という病気だよ

こんなふうに、葉に黒ゴマのような
はん点ができて、かれてしまうんだ。

ゴマ葉枯病とは、葉にゴマ状の斑点が出て、稲の生育が悪くなる病気です。ひどいと稲がすっかり枯れてしまうこともあり、お米の収量にも大きく影響します。2023年秋には、松山三井が一部ゴマ葉枯れ病にかかりましたが、枯れてしまうほどではなかったので、あまり影響はありませんでした。(2024年秋はゴマ葉枯れ病は出ていません)ちっ素が不足しているとかかりやすいので、慣行栽培では化学肥料で窒素を与えて予防しています。安心米づくりでは、緑肥のクローバーの根につく根粒菌が土中に窒素を固定してくれることで窒素不足を予防しています。しかし、緑肥の生育にも、もちろん化学肥料を使わないので、緑肥の生育状況によっては、ちっ素不足となることもあり、病気にかかることもあるのです。かといって、ちっ素過多になっても、丈が伸びすぎて稲が倒れてしまうため、程よい量に調整したいところですが、化学肥料のように簡単に調整できないので安心米づくりは大変です。

稲刈り(いねかり)

いよいよ稲刈りをするよ

安心米は、雑草を枯らす農薬を使わないから、
雑草が長くのびている場合は、
まず雑草を手でかるよ、そしてコンバインの登場さ!

雑草が飛び出ているまま刈ると、コンバインの刈り取り長さの設定とずれてしまうので、ほかのお米の高さと合うよう雑草を手で刈っておきます。2024年は、3号田の初期の草取りができなかったため、3号田だけ雑草が多く生えていました。

稲わらは、長いまままで排出することもできますが、田んぼにすき込むことを考えると、短くカットしておく方がよいので、安心米の田んぼでは5~6センチにカットして、そのまま田んぼに排出していました。

稲刈りから脱穀、わらの処理まで一気にこなせるコンバイン、優れものですね。

稲刈り(いねかり)の時期(じき)

安心米には、コシヒカリとヒノヒカリと
松山三井(まつやまみい)という3種類のお米があるんだ。

ヒノヒカリと松山三井は1か月ほど遅く田植えをしたからね

①コシヒカリ②ヒノヒカリ③松山三井の順に収穫していくよ。

早生品種のコシヒカリの収穫は9月初旬、ヒノヒカリが10月初旬、松山三井が10月中旬です。上の写真の1号田がコシヒカリ、2号田がヒノヒカリです。コシヒカリが稔っているのに対し、2号田はまだ出穂していません。

天気だけでなく、周囲の田んぼの収穫時期も気にかけながら収穫時期を決めないと、スズメの襲来を一気に集めてしまい、お米を大量に食べられてしまうことになります。

スズメの襲来(しゅうらい)

スズメがお米を食べに来るのもこまりものだよ

スズメがたくさんとんでくるの?

イネによってくる虫を食べたりもしているけれど、
お米も食べるんだよ

赤丸で印をつけているのはすべてスズメです。望遠レンズでスズメが田んぼの淵にびっしり並んでいるのが確認できました。近づくと気づかれて飛び立つスズメ。なんとおびただしい数のスズメたち。一度に飛び立ったスズメだけでも、ざっと数えて100羽はいます。周囲の田んぼも稔っている時期だとスズメも集中しませんが、早生品種のコシヒカリは、相当食べられてしまいます。それに備えて、早生品種を植えている1,3号田には防鳥ネットを張っているのです。

収穫(しゅうかく)したら、すぐ運ぶ

収穫(しゅうかく)したお米はとれたてですぐに食べれるの?

すぐは食べられないよ

収穫後(しゅうかくご)、乾(かわ)かして、
籾摺り(もみすり)、精米(せいまい)をして
みんなが食べている白米(はくまい)になるんだよ。

コンバインから軽トラにすぐに移して、乾燥機へ運んで乾燥するよ。
乾燥機2台で24時間かけて乾燥するよ

コンバインは刈り取りをし、モミを取り外す脱穀をし、もみが取り除かれたワラを裁断して田んぼに戻す、まで一台でこなします。モミはコンバインに内蔵されているタンクに貯められ、満杯になったら軽トラックのタンクに移し、すぐに乾燥機に運び乾燥させるのです。

もみを乾燥(かんそう)する

トラックからモミをどうやってうつすの?

ホースをつないで、うつすんだよ

大きなタンクだなあ

はやく乾燥(かんそう)しないと、
くさってしまうんだよ

お米が腐る、という印象はないですよね。でも、お米は生鮮品!水分が多すぎると傷みやすく、乾燥しすぎると割れやすいので、様子を見ながら水分15%前後を目指します。安心米は農薬を使っていないので、玄米の状態でも温度が高い状態で置いておくとすぐに虫が羽化してしまいますし、ネズミにも狙われるので、その後の保管は冷蔵庫で行っています。

籾摺り(もみすり)

乾燥(かんそう)できたもみをもみすりして玄米(げんまい)にするよ

乾燥出来たら速やかに籾摺りをします。モミには雑菌や虫の卵なども付着しています。安心米は無農薬なので、虫などの発生リスクを抑えるためにも、なるべく早くもみを取り除き、玄米の状態にして保管することができるようにしています。

色彩選別(しきさいせんべつ)

カメムシにすわれて黒くなったお米を取り除くよ

流れ落ちてくる玄米をセンサー等で判別し、不良米(カメムシなどにやられた着色米や未熟米)、石などの異物が取り除かれます。色彩選別機は1970年代からあるそうで、異物の除去はもちろん、等級をあげるためにも必要な工程です。

精米(せいまい)

あ!ごはんだ!おいしそう!

こんなごはんにするためには、もうひとがんばり

玄米の表面の糠(ぬか)を取り除くよ

糠や胚芽の部分にビタミンB1などの栄養が多く含まれるため、玄米のまま炊いて食べる人もいますが、糠と胚芽を取り除いて精白米にしたものを炊いて食べることが多いかと思います。

ただ、精米後は、お米の表面に残った糠が酸化し徐々に風味が損なわれるため、なるべく精米後に間を置かずに食べるとよいとされています。

安心米は無農薬なので、糠も安心!ということで、「ぬか漬けやぬかで作る肥料などに使うために糠を分けてほしい」という人も多いそうです。

袋詰め(ふくろづめ)

玄米、精米、5キロ、10キロの袋につめていくよ

パッケージにはってあるシールを見てみよう

金色のシール!かっこいいね!

そう!これは無農薬(むのうやく)、
無化学肥料(むかがくひりょう)で作っている証(あかし)なんだ

検査してもらって、農薬(のうやく)の成分(せいぶん)がない
ことを確認(かくにん)して、はじめて貼る(はる)ことができるんだよ

冷蔵庫で保管

安心米は農薬を使っていないので、玄米の状態でも温度が高い状態で置いておくとすぐに蛾などの虫が羽化してしまいます。

ネズミにも狙われるので、保管は冷蔵庫で行っています。

ネズミ対策(たいさく)

ネズミはもみや玄米はもちろん、コンバインや精米機などに残る玄米やぬかなど、お米の香りのするものがあると、それに引き寄せられ、機械のケーブルやベルトなどもかじってしまいます。ネズミ捕りを仕掛けるだけでなく、農機具や機器などをきれいに掃除することもネズミ対策として大切な作業です

二番穂(にばんほ) 穭(ひつじ)稲孫(ひつじ)

稲刈りをしたのにまたお米ができてるよ

そう、二番穂というんだ

稲刈り終わって10日近くたった1号田と3号田には、二番穂が勢いよく伸びています。20センチ近くの長さになっている二番穂もあり、穂をつけているものもあり、これらは稲孫や穭と書いて「ひつじ」と呼ぶのだそうです。二番穂におおわれた田んぼは「ひつじだ」というそうで、これらは秋の季語とされています。正岡子規も「穭田や痩 (や) せて慈姑 (くわゐ) の花一つ」と詠んでいます。ひつじに覆われた田んぼは田植えの風景を思わせるほど青々としています。

緑肥(りょくひ)の種まき

緑肥(りょくひ)ってなに?

土の養分を作る植物のことだよ

安心米づくりでは、化学肥料(かがくひりょう)を使わないかわりに、
クローバーを植えて、土の養分(ようぶん)をふやしているんだ

安心米は無農薬だけでなく、無肥料で栽培しているので、不足しがちな土の中の窒素を補うため、緑肥と呼ばれる、土の中に窒素をためることに適した植物を植えています。緑肥に適した植物はいろいろありますが、安心米ではシロクローバーの種をまき、育てています。クローバーの種はとても小さいので、まんべんなく播種出来るよう、「水稲畑作用散粒機」を使って、歩きながら人が播種していくのです。散粒機は、まくものの粒の大きさによって調整ができるようになっていて、周囲に飛ぶ距離も調整できるので、今回は4M間隔で歩きながらまいています。回すスピード、歩くスピードを一定にしながら、歩きにくい田んぼの中をまいていくのはなかなか難しそうです。

緑肥(りょくひ)が土づくりの決め手

ひと月ほどたつと、クローバーの小さな葉がたくさん育っているよ

安心米は太陽と大地の恵みだけを受けて栽培しています、環境保全型農業プロジェクト研究 の中で開発されたクローバーによる窒素固定と養分循環技術 を活用して作られています。と、安心米のラベルにも書かれています。だから、クローバーがちゃんと育ってくれないと、土中に十分に窒素を固定することができず、来年の稲が十分に成長できなくなります。化学肥料を使用するならば調整は簡単ですが、一切化学肥料を使わない安心米づくりではクローバーの根の根粒菌が頼みの綱なのです。

植物が育つときに土中の栄養が吸い取られてしまうイメージ、ありますよね。

植えられた植物によって土中の栄養バランスが大きく変わるため、同じ作物を続けて同じところに植えると連作障害といって、うまく作物が育たないのです。それなのに、稲は同じ田んぼに毎年田植えをし、育てていますよね。水田だから、それが可能になるのです。栄養豊富な水が、毎年新たに水田に注がれることで、土の栄養バランスが整うのです。

でも、窒素は水を引き込んでも十分ではありません。そこで、緑肥が必要になるわけです。クローバー以外にも緑肥となる植物はいろいろあり、レンゲなども窒素固定のために植えられてきたのですが、窒素量の調整が難しい、すき込みに手間がかかる、という理由でレンゲ緑肥をあきらめる農家さんも多いそうです。

Ogura
Author: Ogura

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