夏の安心米づくり

どんどん暑くなって、
グングン稲が育つよ

目次

スクミリンゴガイ(ジャンボタニシ)の産卵

このピンク色のかたまりなんだかわかるかい?

え?ナニコレ?すごい数だね

スクミリンゴガイの卵だよ
ジャンボタニシともいうね

2週間ほどで卵は孵化(ふか)するよ

苗にも産み付けるんだ

水につかると卵は死んでしまうので、
こんなところにまで卵があるよ

スクミリンゴガイの卵は田んぼの擁壁はもちろん、周囲の植物、配管、堰止めの板、泥の盛り上がり、いたるところに産み付けられています。産卵は田んぼに水が入り始めるころから始まり、田植えから3週間たつくらいの時期が一番多い時期で、そこから孵化がすすんでいきます。ショッキングピンクの卵は、水につかると死んでしまうため、産卵は田んぼから横方向にはそう遠くなく、でも水からはなるべく縦方向に離れたところに産んでいるようです。

苗を食べるスクミリンゴガイ

田植えのあとなるべく水の量を
すくなくしておかないと、
こんなことになるんだよ

あ~、食べられてる!

苗が一晩(ひとばん)のうちに半分くらい
食べられてしまうこともあるよ

苗が大きくなるとスクミリンゴガイに食べられてしまうことはありませんが、小さいうちはあっという間に食べられてしまいます。スクミリンゴガイは土の中で冬眠し、田んぼに水が入るとすぐに活動を始めます。スクミリンゴガイは水があるところを好み、泳ぐように動き、浮力も使って稲に上っていくので、田植えから2週間ほどはなるべく水の量を減らして苗を食べられないようにしています。

分げつ(ぶんげつ;)

稲がどんどん育ってきたね

たけも太さも大きくなったね

茎の根元から新しい茎が出てくることを分げつといいます。田植えで1束に3~4本の苗が植えられているので、だいたい一束20~25本になるところまで分げつが進むまで育てていきます。

https://www.kubota.co.jp/kubotatanbo/rice/management/offshoot.html

生育調査

稲の育ちぐあいを調べているよ

安心米の田んぼは愛媛大学の農学部の実習田なので生育状況もちゃんと調査記録され、データは蓄積保管がされています。写真は2週間に1度行っている生育調査の様子です。調査項目は3つ。①葉色(ようしょく)濃度②草丈(くさたけ)③茎数(くきすう)です。どれもそれぞれの田んぼの目印のところで10の試料記録を取り、平均を出していきます。どの田んぼも各数値の一番低いものから高いものまでで差があります。葉色濃度で7くらいの差があり、草丈で5㎝ほどの差があります。分げつ状況を見る茎数も5本程度の差があります。こうやって生育状況の平均を出し、データを蓄積すると、その年の生育状況を客観的に見ることができるのですね。1週間の変化は写真で見てもよくわかりますが、このような数値化されたデータだとより変化がよくわかりますね。

中干し(なかぼし;水をなくす)

分げつがすすみ、一株で20本程度になったところで分げつを止めるため、水をぬき、土を干上がらせる「中干し(なかぼし)」を行います。地面にひび割れができています。土の中に潜り込めなかったスクミリンゴガイの死骸も多く見かけます。

出穂(しゅっすい)と鳥よけ

穂(ほ)が出たね、出穂(しゅっすい)とよぶよ

スズメに食べられてしまわないようにネットをはるよ

穂が出ると、生育期間中一番水が必要な時期となるので、水をたっぷり張ります。穂が成長し、どんどんとでんぷんを蓄え始めるとスズメがやってきて食害に合うので、防鳥ネットを張って被害を防ぎます。安心米の早生品種は周囲の田んぼよりも田植えが早く、出穂も早いため、ネットを張らないとあっという間に食べられてしまいます。炎天下の中、ひもを張り、杭を打ち、ネットを張ります。ネットの端はループになっているので、ひもの中を通してカーテン状に広げていくのですが、1枚のネットの幅は18メートル、長さが54メートルの大きさ!!張りすぎてもたるみすぎててもダメ、広げた後に張り加減の調整も行いますが、猛暑の中で大変な作業です。

稲の花が咲く

稲の花を見たことがあるかい?

稲に花が咲くの?

稲の花に花びらは無いけれど、
ちゃんと咲いているんだよ

稲の花には花びらは無く、緑色のモミが縦にふたつにパカッと割れてそこからおしべが出てくるタイミングを開花と呼びます。上の写真はちょうど開花したタイミングです。おしべの先には黄色い花粉があり、、その花粉が風によって根元にあるめしべにつきます。稲の花(えい花)は一つの穂に100個くらい。花が咲くのは午前中の2時間程度、適温は30度前後で、強い雨や気温の低い日は閉じたまま、晴れる日を待ちます。穂先から順に咲き、全部咲き終わるまで1週間ほどかかります。

https://life.ja-group.jp/education/bucket/column/flowering09

田んぼの生き物

田んぼの生き物をしょうかいするね

ジャンボタニシだけじゃないの?

うん、水路(すいろ)
にはスッポン

ジャンボタニシを食べるサギ

育苗箱(いくびょうばこ)のよこには子ギツネ

キツネ???

そうだよ、山から下りてきたんだね

田んぼには
ヌマエビ
カブトエビ
カワニナ

アメンボ
アカトンボ

マムシ

こわいなあ

安心米は無農薬、無化学肥料で栽培しているので、土の中には微生物やミミズなどもたくさんいます。それらを食べようとする虫や、鳥、またそれを食べようとする生き物がやってきて、食物連鎖が成立するため、多くの行きもを見返ることができるのです。田んぼの中に見えるヌマエビなどは、少量の農薬でも死んでしまうため、安心米の田んぼは「安心」であることのあかしとも言えますね。ただ、姿を見かけたのはほんの一時期で、たぶん、スクミリンゴガイに食べられてしまったのだと思われます。

Ogura
Author: Ogura

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